シリアルトンネリング over IP とリモートポートの取り扱い

シリアルポートトンネリングは、エンキャプスレーションというプロセスを使用してネットワーク越しにシリアルデバイスを接続する技術です。シリアル通信では、デバイスとアプリケーションがデータをパケットで転送します。エンキャプスレーションは、シリアルデータパケットをTCP/UDPパケットに変換し、TCP/UDPヘッダーに少量の識別情報を追加します。

ヘッダーが追加されると、パケットはエンキャプスレートされ、TCP/UDP接続を通じて転送できます。パケットが目的地に到達すると、ヘッダーが削除され、シリアルパケットがデバイスまたはアプリケーションに受信されます。シリアルパケットにヘッダーを追加し、パケットを送信し、ヘッダーを削除するプロセスをシリアルトンネリングと呼びます。

シリアルポートトンネリングには、ソフトウェアおよびハードウェアのソリューションがあります。

ソフトウェアトンネリングソリューションは、ホストコンピュータをシリアルデバイスとネットワークの間の接続ポイントとして使用します。ハードウェアコネクタとは異なり、ソフトウェアソリューションは安価であり、特定のハードウェアの問題を経験することはありません。シリアルトンネルを作成する実用的な方法として、Serial to Ethernet Connectorをお勧めします。

一方、ハードウェアソリューションは、シリアルデータパケットを別のデバイスを通して送信し、そのデータはネットワークを介して送信される前にカプセル化されます。別のデバイスがカプセル化ヘッダーを削除し、データパケットをシリアルデバイスまたはアプリケーションに配信します。

Serial to Ethernet Connectorのようなソフトウェアソリューションは、ハードウェアの代替手段よりも柔軟性が高く、既存のネットワークインフラに変更を加える必要がありません。このソフトウェアは、物理的なシリアルインターフェースをエミュレートする仮想シリアルポートを作成します。コンピュータは、追加のハードウェアをインストールすることなく、リモートのシリアルデバイスやアプリケーションと簡単に通信できます。

Serial to Ethernet Connector（SEC）は、さまざまなビジネスの要件に対応するための多用途なソリューションです。WindowsおよびLinuxシステムをサポートする真のクロスプラットフォームソリューションで、シリアル周辺機器の価値を最大化できます。

以下は、Serial to Ethernet Connectorのいくつかの使用例です。

SECをデバイスに接続されたコンピューターにインストールすることによって、シリアルデバイスをネットワーク上で共有できます。他のコンピューターは、仮想シリアルポートを介してネットワーク経由でデバイスにアクセスでき、周辺機器に直接接続されているかのように利用できます。

異なるコンピューター上の2つのアプリケーションは、NULLモデムケーブルで接続できない場合でも、SECを使用して通信できます。ソフトウェアは両方のマシンにインストールされ、アプリケーションはSECが作成する仮想シリアルポートを通じてデータを送信でき、物理的なケーブル接続は不要です。

リモートシリアルデバイスは、SECを使用してローカルで制御できます。ローカルコンピューターにソフトウェアをインストールすることで、Telnet経由でリモートデバイスにアクセスし、直接接続しているのと同じ機能を享受できます。

Serial to Ethernet Connectorを設定する前に、ネットワークや接続するデバイスまたはソフトウェアに関する情報を確認する必要があります。以下は、SECの設定に必要な情報を見つけるためのヒントです。

• シリアルデバイスに接続されているローカルマシンのIPアドレスが必要です。このIPアドレスを使ってネットワーク越しに接続できます。Windowsではipconfigコマンド、Linuxシステムではipコマンドを使用すると、コンピュータのIPアドレスがわかります。
  
  
• アプリケーションで使用するIPポートが利用可能である必要があります。そのステータスは、Windowsのnetstatコマンドや、ほとんどのLinuxディストリビューションで使用できるssコマンドで確認できます。
  
  
• デバイスに接続する際は、ユーザーマニュアルを参照して、ボーレート、パリティ、ストップビットなどのパラメータを確認できます。

通常、シリアルトンネルを作成するために使用される2種類のハードウェアソリューションがあります。これらのソリューションは異なる機能を持ち、さまざまな使用シナリオに対応できます。

デバイスサーバー - デバイスサーバーは、シリアルデータをネットワーク越しに送信できるハードウェアです。1つのデバイスサーバーは、シリアルデータを送信するデバイスやアプリケーションに接続されます。デバイスサーバーはデータをカプセル化し、ネットワークを介して送信します。もう1つのデバイスサーバーは受信デバイスやアプリケーションに接続され、TCP/UDPヘッダーを削除し、シリアルデータを受信者に届けます。

シリアルハブ - シリアルハブは、複数のシリアルデバイスをローカルエリアネットワーク（LAN）に接続して、シリアルデータを有線または無線のイーサネット接続で送信できるようにするために使用されます。シリアルハブは、ファイアウォールやその他のインフラコンポーネントのシリアルポートを管理するためにも使用されます。また、シリアルハブは、コンピュータをリモートのネットワーク接続されたシリアルデバイスに接続するためのソリューションを提供し、直接的な物理接続と同じ機能を提供します。

デバイスの近くにコンピューターがある場合、ソフトウェアソリューションが常に優先されます。シリアルデバイスが十分に遠くにある場合や、コンピューターが適さない環境にある場合のみ、ハードウェアを選択するべきです。なぜなら、一部のトンネリングハードウェアは広範な温度範囲で動作することができるからです。全体的に見ると、Serial to Ethernet Connectorはほとんどの状況に適しているはずです。